『走る詩人』加澄ひろしです。
詩誌『詩人会議』7月号の投稿欄に掲載していただいた詩です。
「まどい」
震えている、音もなく
風のせいだろうか
ちがう、鳥がきたのだ
枝の先端で、ふと
こちらを、みつめているだけだ
震えている、やるせなく
風のせいだろうか
ちがう、鳥が去ったのだ
茂みのむこうで、じっと
こちらを、みつめていただけだ
震えている、あてもなく
風のせいだろうか
そうだ、鳥を追っていたのだ
森の道で、ずっと
あちらを、みつめているせいだ
震えている、わけもなく
風のせいだろうか
そうだ、鳥を待っていたのだ
藪のほとりで、ただ
あちらを、みつめていたせいだ
©2022 Hiroshi Kasumi
ロシアの侵略に断固として抗議し、即時の攻撃停止と完全撤退を求めます。