『走る詩人』 加澄ひろし

サブフォーを目指さない文化系ランナーの独り言

【詩】まどい

『走る詩人』加澄ひろしです。

詩誌『詩人会議』7月号の投稿欄に掲載していただいた詩です。

 

「まどい」

 

震えている、音もなく
風のせいだろうか
ちがう、鳥がきたのだ
枝の先端で、ふと
こちらを、みつめているだけだ

 

震えている、やるせなく
風のせいだろうか
ちがう、鳥が去ったのだ
茂みのむこうで、じっと
こちらを、みつめていただけだ

 

震えている、あてもなく
風のせいだろうか
そうだ、鳥を追っていたのだ
森の道で、ずっと
あちらを、みつめているせいだ

 

震えている、わけもなく
風のせいだろうか
そうだ、鳥を待っていたのだ
藪のほとりで、ただ
あちらを、みつめていたせいだ

 

©2022 Hiroshi Kasumi

 

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