『走る詩人』 加澄ひろし

サブフォーを目指さない文化系ランナーの独り言

AIMS『Distance Running』1月号

『走る詩人』加澄ひろし です。

 

AIMS (Association of International Marathons and Distance Races) をご存じですか?

AIMSは日本語では『国際マラソン・ディスタンスレース協会』と称する世界中の長距離レースの会員組織です。

AIMS: The home of world running

1982年に正式発足したAIMSは、当初、世界各地のマラソン大会開催者の情報交換の場だったそうです。今日では、450を超える世界中の加盟大会の代表者たちが互いに協力し合って、大会のプロモーションや運営の向上を目指す組織となっています。

日本語のページでは、AIMSの目的として下記が掲げられています。

  1. 長距離レースを世界中に広め盛んにすること。
  2. 国際陸上競技連盟(IAAF)と連携して国際ロードレースの運営に携わること。
  3. 協会の会員間で情報や知識、専門技術を交換、共有すること

 関心のある方は、日本語ページをご覧になってみて下さい。

 

さて今回ここでご紹介するのは、AIMSが発行している『Distance Running』 という雑誌です。『Distance Running』は、毎年4回発行されるAIMSの機関紙で、ホームページ上に公開されています。最新版は2021年1月号です。

 

issuu.com英語ですが、上記のリンク先から画面で読むことができます。PDFファイルで無料ダウンロードすることもできます。

 

『Distance Running』の記事は、毎号、開催が近づくマラソン大会の紹介や、その時々のランニングにまるわる記事が掲載され、大変興味深く読むことが出来ます。世界中のレースの予定日一覧や最新のレース記録集なども見ることが出来ます。

 

紹介されているマラソン大会は、それぞれ主催者ならではの視点で1ページの誌面を使って書かれています。1月号に掲載されているレースを、簡単に要約してご紹介しましょう。

 

カザン マラソン(Kazan Marathon, Russia)

2021年5月2日開催

ロシアでも有数のマラソン大会。1974年からに小規模に始められた大会は、2015年以降運営が強化され、2000人程度だった参加者が、2019年大会では30,000人にまで増えました。ロシア国内だけでなく、世界中からランナーが集まる大会になっているのです。 

http://www.kazanmarathon.org

カザンはモスクワから東方に約700キロ、ロシア連邦タタールスタン共和国の首府です。

  

ブカレスト ハーフマラソンVolkswagen Bucharest Half Marathon, Romania)

2021年5月9日開催

ルーマニアの首都ブカレストは、東ヨーロッパの中でもユニークな魅力にあふれる都市。ヨーロッパの東と西を結ぶ土地であるだけでなく、東西の文化や文明が交錯する中で、戦災と地震を乗り越えて独特の町づくりを成し遂げてきました。2019年の大会では75か国から19,000人以上のランナーが参加し、市内の主要な観光名所をめぐるコースを走りました。フラットでスピードが出せるコースなので、パーソナルベストを狙えることも魅力の大会です。  

http://www.bucuresti21km.ro

 

コペンハーゲンラソン(Copenhagen Marathon, Denmark)

2021年5月16日開催

第42回となるデンマークでも最大のマラソン大会。2019年の40周年大会には、史上最大規模となる13,313人のランナーが走りました。市の中心部を走る周回コースとなっており、フラットで美しいコースです。加えて、沿道には多くの応援が集まり、バンド演奏などの楽しめるスポットにもあふれています。

http://www.copenhagenmarathon.dk

 

ストックホルムラソンASICS Stockholm Marathon, Sweden)

2021年6月5日開催

スウェーデンでも有数のスポーツイベント。美しい街並みを走り、1912年のオリンピックスタジアムでフィニッシュします。42回大会となるはずだった2020年大会は中止となりましたが、2021年は感染症の先行きに備えて、いくつかのシナリオを準備し、万全の対策を図りながらの開催を目指しています。スタートからフィニッシュまでランナーにとって、生涯忘れられない思い出の大会になるよう、主催者は力を尽くします。

http://www.stockholmmarathon.se

 

スウォンジー ハーフマラソンJCP Swansea Half Marathon, Great Britain)

2021年6月13日開催

ウェールズ第二の都市で行われる英国の春のマラソン大会。英国内でも最もフラットで風光明媚なコースを走るハーフマラソンに、数千人規模のランナーが集まります。市内の名所とスウォンジー湾沿いを走るコースは、変化に富んだ美しい景色の連続です。初めてレースを走るランナーにとっても、ベテランのランナーにとっても、その走力を存分に発揮できる素晴らしいハーフマラソン大会です。  

http://swanseahalfmarathon.co.uk

 

ミッドナイト サン マラソン(Midnight Sun Marathon, Norway)

2021年6月19日開催

ノルウェー北部、北極圏内350kmの都市トロムセで開催される、極北の海と島の自然を満喫できるマラソン大会。白夜のもとで、夜中に走るレースは 1989年から始まりました。夏とはいえ、寒く湿った天気がランナーにとっては厳しいコンディションとなりますが、北極圏の美しい景色が気持ちを癒してくれるでしょう。息をのむような景色の連続が、ランナーには忘れられない体験の思い出となるに違いありません。レースは20時半にスタートしますが、日が暮れることはありません。多くのランナーは、太陽に明々と照らされた真夜中にレースをフィニッシュすることになります。参加ランナーは約6,000人、フルマラソン42キロ以外にも、ハーフマラソン、10キロレース、4.2キロレースなどの種目を用意しています。     

http://www.msm.no

 

タンガマンガ 国際マラソンBMW Tangamanga International Marathon, Mexico)

2021年6月27日開催

メキシコの色彩と音楽、快楽、明るい景色、うまい食べ物などなど、すべてが詰まったマラソン大会。メキシコ北部の町、サン・ルイス・ポトシで開催されます。フルマラソンとリレーのランナーが、同じコースを一緒に走ります。音楽や飾りつけが沿道にあふれ、懸命に走るランナーの気持ちを支え続けます。走って、食べて、飲んで、観光して、またとない素敵なランニングの旅を体験しましょう。

http://www.maratontangamanga.com

 

スイスアルパイン(Swissalpine, Switzerland)

2021年6月23日開催

スイスアルパインは、ダボスで毎年開催される山岳を走るウルトラレース。「スイスアルプス魂」を誇るランナーたちの交流の場となっています。第1回のレースは1986年7月26日、距離67キロメートル、高低差2400メートルを登るコースで行われ、「狂気のチャレンジ」と呼ばれました。2010年から2019年までの平均参加者数は4,700人。現在は「K68: 67.8km, +/-2606m」「K43: 42.7km, +/-1424m」「K23: 23.4km, +/-282m」「K10:9.3km, +/-163m」の4種目と、子ども向け「年齢層別 500m~1400m」があります。ランナーたちは、美しいアルプスの牧草地や小川、カラマツやモミの木立、岩だらけの狭いトレイルを走り抜け、他に類のない楽しくも過酷なレースを体験をすることができます。 

http://www.swissalpine.ch

 

 

このように世界各地の記事を読んでいると、海外のレースを走りに行きたい気持ちになります。今回、僕が一番印象的だったのは、ノルウェーのミッドナイトサンマラソンでした。

www.msm.no

北欧には行ったことがありません。もちろん、白夜を体験したこともありません。まったく未知の国で、日の沈まない夜のマラソンレースを走るなんて、考えただけでもワクワクします。

でも現下の状況では、海外に出かけることなど考えられません。日本国内のマラソン大会すら、参加が危ぶまれる状況なのですから。一日も早く、また以前のように国内外のマラソン大会遠征を検討できる日がくることを心待ちにしています。

 

AIMSの『Distance Running』は、3カ月に1回の発行です。次号は4月の発行予定です。ランニング大会にまつわるいろいろな話題が取り上げられているので、ひと通り記事を読み終わると、次号が待ち遠しい気持ちになります。盛りだくさんの広告も、色とりどりで、眺めているだけで気持ちを高揚させてくれます。

 

表紙をよく見ると、タイトルの『Distance Running』の頭に『Keep your』が加えられていることに気が付きます。『Keep your Distance』(距離をとりましょう)ということですね。コロナ禍を踏まえ、表紙に込めた編集者のメッセージを感じます。

 

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筆者へのメール:kasumi@tokyo.ffn.ne.jp